From: 心のともしび運動本部
Date: Mon, 27 Feb 2017 10:00:13 +0900
Subject: 心のともしび「心の糧」(2/27)
タイトル: 「 始めの一歩 」
執筆者: シスター 渡辺 和子
江戸時代、堺の町に吉兵衛という人がいました。
商売も繁昌していたのですが、妻が寝たきりの病人になってしまいました。
使用人も多くいたのにもかかわらず、吉兵衛は、妻の下の世話を他人には任せず、
忙しい仕事の合間を縫って、してやっていました。
周囲の人々が言いました。
「よく飽きもせず、なさっていますね。お疲れでしょう」
それに対し、吉兵衛は、こう答えたと言われています。
「何を仰います。一回一回が仕始めで、仕納めでございます」
この言葉を私は時折思い出して、反省の材料にすることがあります。
吉兵衛さんは、この繰り返しを、繰り返しとは考えず、
毎回を「始めの一歩」として、新鮮な気持ちで行い、
もしかすると、これが最後になるかも知れないと、
心して、ていねいに済ませていたに違いありません。
こういう心を、折にふれて取り戻したいものです。
ずい分前のことになりますが、一人の神父が、初ミサをたてるに当たって言っ
た言葉も、私に反省を促します。
「自分はこれから、何万回とミサをたてることになるだろうが、その一回一回
を、最初で、唯一で、最後のミサのつもりでたてたいと思う」
新しい年を迎えるにあたって、人それぞれに立てる決心があることでしょう。
私は、吉兵衛さんの「仕始めで仕納め」の心掛けと、初ミサをたてた時の神父の
「最初で唯一で最後」の意気込みを、
この一年、大切にして生きたいと思います。
それは、ていねいに生きるということであり、その一歩一歩の積み重ねが、
この一年を私の財産となる一年にしていってくれるのではないかと願っています。
十 シスター渡辺和子さんは、平成28年12月30日帰天されました。
シスターのご冥福をお祈りしています。十
この記事へのコメント
Chelsey
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