井枝尼 理出亜 ――数字にならない夜の光

井枝尼 理出亜 ――数字にならない夜の光 冬の都市は、静かだった。 駅前のLEDビジョンは明るい。 フォロワー数、再生回数、株価指数、支持率。 世界は数字で光っている。 でも理出亜は知っている。 光るものが、必ずしも温かいわけではないことを。 1.評価されない場所 理出亜は、地下の小さな部屋でワークショップを続けている。 テーマはいつも、重い。 …

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井枝尼 理出亜 病室より 戦士の休息

 井枝尼 理出亜 病室より 戦士の休息  体調を崩し、横になる。多くの人の中に私は現れる。ゲーム、小説、アニメ、AI、組合。クリエイターフリ-ランス起業家の中に、福祉関係インフルエンサーの中に。学者の論文の中に、デ-タの中に  さまよい歩き、倒れる。意識が流れ込み、意識がなくなる。  それでも私はまた各地に現れる。病床にあっても。                        …

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測量線(思想小説・終章) 井枝尼 理出亜の小説、

測量線(思想小説・終章) 井枝尼理出亜の孤独は、音がしなかった。 それは叫びではなく、余白として存在していた。 美大で学んだ彼女は、形よりも重さを見ていた。 線が引かれる前に、どれだけ沈黙が溜まっているか。 色が置かれる前に、どれだけ時間が呼吸しているか。 彼女のアトリエには、二冊の本が並んでいた。 擦り切れた『資本論』と、書き込みだらけの聖書。 互いに相容れないとされる…

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